窓の中にいるとき
耐性の窓とは、感情や身体の反応があっても、考えたり、感じたり、人と関わったりしやすい範囲を表す概念です。落ち着ききっている必要はありません。悲しさや不安があっても、それに全部のみ込まれず、少し選べる余地がある状態です。
この幅は人によって違い、同じ人でも変わります。睡眠不足、痛み、孤立、仕事の負担が重なれば狭く感じることがあります。安心できる人や場所があると、少し余裕が戻ることもあります。
窓の上と下で起こりやすいこと
窓の上は、過覚醒と呼ばれることがあります。焦り、怒り、強い不安、動悸、考えが止まらない、周囲を警戒し続ける、といった反応です。
窓の下は、低覚醒と呼ばれることがあります。ぼんやりする、力が入らない、感情が遠い、動けない、眠気が強い、といった反応です。どちらも本人が選んで起こしているわけではありません。
耐性の窓を表した概念図
過覚醒焦り・強い不安・怒り・警戒・考えが止まらない
調整しやすい範囲感情があっても、考える・感じる・選ぶ余地がある
低覚醒ぼんやり・力が入らない・感情が遠い・動きにくい
これは診断でも、測定器でもない
この図は、自分の状態を大まかに理解し、今は刺激を減らすのか、少し動くのか、誰かとつながるのかを考えるための概念モデルです。自律神経の状態を正確に測るものではなく、病名を判断するものでもありません。
「窓の中に戻らなければ」と頑張る必要もありません。今は上の方にいる。下の方にいる気がする。あるいは、よく分からない。それだけでも十分な観察です。
参考資料
- The Developing Mind, Third EditionDaniel J. Siegel / Guilford Press
- Treatment of complex PTSD: results of the ISTSS expert clinician survey on best practicesJournal of Traumatic Stress / PubMed
参考資料は記事作成時に確認したものです。個別の診断や治療方針については、担当の専門家にご相談ください。