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曲のあいだ #01

止まっても、動いている

――『止まった日に』から『それでも、動いている』へ

プリンターが止まった。 体温計が止まった。 そして、僕も止まった。

2026年9月18日。 KANOUSEI LABの最初の集まりを終えたあと、 午後から発熱しました。 病院へ行くと、インフルエンザA。

予定していたKANOUSEI LABも、 ブイヨンキッチンでの体験会も中止になりました。

十数年、ほとんど熱を出すことなく動いてきた僕にとって、 こんなふうに予定ごと止まるのは珍しいことでした。

その夜、眠れないまま一曲つくりました。 『止まった日に|プリンターも、体温計も、僕も止まった』 止まってしまった一日の歌です。

止まった日に|プリンターも、体温計も、僕も止まった』を聴く

それで終わらなかった

身体を休ませていれば、 少しずつ元に戻っていく。 そう思っていました。

ところが今度は、ギックリ腰。 犬を抱き上げることさえ厳しい。 階段を上がると身体がぐらぐらする。

しゃがむ。 立ち上がる。 いつもなら考えることもない動きが怖い。

声を出しても、 いつもの声量が出ない。 胸の奥にも、 まだ弱っているような感覚がある。

こんなにも止められた経験が、 今まであっただろうか。

身体から何度も言われているようでした。 「まだダメだ。」 「まだ休め。」

でも、止まってくれないものもある

妻は、 「しっかり休んで」 と言ってくれます。

患者さんからも、 「無理しないでください」 と言っていただきました。

ありがたい。 本当にその通りだと思います。

でも、自分で仕事をしていると、 休むことにはもう一つの現実があります。

仕事を止めれば、 入ってくるお金も止まる。

それでも、 法人市民税。 法人県民税。 消費税。 事業に必要な支払い。

出ていくものは、 僕の体調とは関係なく動いていきます。

所得保障も、 「スズメの涙くらいは、もらえるのかな」 なんて考えながら、 また横になる。

身体は止まっているのに、 現実のすべてが止まるわけではありません。

身体の痛みから、一枚引いてみた

普段、患者さんに行っているセラピーがあります。 今回は、それを自分自身にやってみました。

左の腰の痛みに意識を向けながら、 反応するカードを一枚。

そこにあったのは、 「さなぎ」 という言葉でした。

そして、 「たたんだ羽が うずうずしている」 という言葉。

その瞬間、 「ああ、これだ」 と思いました。

身体は、こんなにも動かない。 それなのに、 心はうずうずしている。

飛べない。でも、動いている

脚は動かない。 なら、脚は休ませる。 声が出ない。 なら、声も休ませる。

でも、頭は動いている。 手も動く。 こうして言葉を考えることもできる。 ホームページを少しずつつくることもできる。

コツコツ。 コツコツ。

そこで、ひとつ思いました。 エネルギーがあるところを感じとる。 動くところを動かす。 動かないところは休ませる。

全部を止める必要もない。 全部を動かす必要もない。

今の自分の中に残っている動きを、 ただ探してみる。

犬たちは、今日もそばにいる

犬たちも、 いつもと違うことは分かっているようです。

歩き方が違う。 声も小さい。 いつものように抱き上げてもらえない。 きっと何かを感じている。

それでも、 今日もそばにいます。

元気になれとも言わない。 早く働けとも言わない。 ただ、そばにいる。

僕も横になったまま、 その温かさを感じています。

さなぎの中は、本当に止まっているのだろうか

さなぎは、 外から見ると止まっています。 動いているようには見えません。

でも、 中まで止まっていると、 誰が決めたんだろう。

蛾の一種(Manduca sexta)では、 幼虫期に成立した学習の一部が、 変態を経た成虫でも確認された研究があります。

ただし、 「蝶は幼虫時代の記憶をすべて覚えている」 という意味ではありません。

姿が大きく変わっても、 学習したものの一部が残る場合がある。

その研究を知って、 僕は少しだけ想像します。

さなぎになる前のことを、 羽は覚えているのかな。

これは科学的な結論ではなく、 そこから浮かんだ僕自身の問いです。 答えは分かりません。 今すぐ羽をひらく必要もありません。

そして、もう一曲が生まれた

『止まった日に』を書いたとき、 僕は「止まった」と思っていました。

でも、その数日後。 もっと身体を止められてみて、 気づいたことがありました。

止まっているように見えても、 僕の全部が止まっているわけではなかった。

身体は休んでいる。 心はうずうずしている。 頭が動く。 手が動く。

コツコツ。 コツコツ。

そこから、 もう一曲が生まれました。 『それでも、動いている|飛ばなくても、心はうずうずしている』

それでも、動いている|飛ばなくても、心はうずうずしている 作品リンク未設定

飛ばなくてもいい。 羽をひらかなくてもいい。

今は、 動かないところを休ませながら、 動くところだけ動かしてみる。

あなたの中では

今のあなたの中で、 休ませたいところはありますか。

そして、 それでも、 まだ少し動いているところはありますか。

答えを出さなくても大丈夫です。

二つの曲を聴きながら、 少しだけ、 自分の中にあるものを聴いてみてください。